2017年3月7日
アギオス・ニコラオス修道院

カストラキに2泊する我々のメテオラ旅行だが、とにもかくにも滞在中の天気予報が悪かった。

初日となった昨日は、想定よりも天気がよく、タクシーを使って岩の上にそびえる修道院を3つ回ることができた。

二日目となる今日は、もともとの天気予報も一番悪い日である。寝ているときには、雷の音が鳴り響いているのが、意識の遠い部分で聞こえていた。ギリシャ神話では雷は大神ゼウスの武器なので、神聖なるメテオラのふもと町カストラキで、雷の音を聞くのもいい感じだと思ったが、メテオラはギリシャ正教の聖地なので、よく考えなくてもゼウスは何の関係もない。

朝食スペースに下りると、我々以外にも数名の宿泊客がいて、先にごはんを食べていた。

カストラキの朝食

こちらがビュッフェ形式の本日の朝食。ギリシャ旅行に行った人は、期待していたより料理が美味しかったとよく言うが、本当にギリシャで食べるものは美味しい。日本人には、地中海の味は口に合うのかもしれない。

カストラキの朝食グリークヨーグルト

忘れてならないのがグリーク・ヨーグルト。ギリシャの朝食には欠かせないものである。初めてギリシャに行ったときは、ハチミツだけかけていたが、今回二度目のギリシャでは、シリアルをかけたり、ナッツやジャムをかけたり、だんだん自分用にアレンジできるようになってきた。

昨日、お風呂のシャワーが壊れていて、今日は部屋を替えてもらうことになっている。朝食後の清掃後に、新しい部屋のベッドメイクをするとのこと。姉は、昨日シャワーを浴び損ねているのだけど、どうせ外は雨が降っているし、濡れて汚れるだろうから、シャワーは帰ってきてから浴びればよい、と、先に出かけることにした。

この日は水曜日で、まだ訪問していない3つの修道院の中では、アギオス・ニコラオス修道院しか開いていない。

しかし、姉は周到に計画を立てていて、この日が天気が悪いことを考慮して、今日ははじめからアギオス・ニコラオス修道院にだけ入場観光する予定である。

アギオス・ニコラオス修道院は、一番カストラキに近い場所にある修道院で、カストラキからなら、じゅうぶん徒歩で行くことができる。ゆっくり歩いても30分かからないくらいである。

雨はそれほど強くはないけど、弱くもないという降り方であった。昨日、壊れているシャワーと格闘したためか、私の風邪は、全然良くはなっていない。それでも、外出をやめるほどしんどいわけでもなかったので、雨の中傘をさして歩き出した。

雨の中のカストラキ

カストラキ独特の岩が立ち並ぶ風景も、何となく不穏な色の雲に包まれている。

メテオラのロバ

修道院までの道中で出会ったロバさん。

メテオラのロバ

「雨の中ご苦労な観光客たちだべなー」と思っているのかな。イヤ、この顔は何も考えてないな…。

アギオス・ニコラオス修道院

そして、左手の方へ、見えてきたアギオス・ニコラオス修道院。悪天候のためか、霧がかって幻想的に浮かび上がっている。雨が降ると歩きにくいし、行動も制限されるけど、こういった思わぬ景色を見れたのは嬉しかった。

姉いわく、このアギオス・ニコラオス修道院は、メテオラの中では、一番観光客に無視される修道院らしい。

メテオラには現在、6つの岩の上の修道院があるのだが、多くの観光客は、このアギオス・ニコラオス修道院はスルー、もしくは存在も知らずに、5つ訪問して帰ってしまうのだそうだ。地球の歩き方の歩いて回るコースからも、このアギオス・ニコラオス修道院は外されている。

「何で?結構感じがいいじゃん?」と聞くと、姉が言うには「まずね、あんまり乗っかってる岩に高さがないんだよね。その岩の背後に、もっと高い岩山があるせいもあって、あんまり岩の上にそびえてる感じがしないんだよ。あと、修道院自体が小さい」。

「えー。右手にも修道院が見えてるけど、同じくらいの大きさじゃない?」と言ってみると、「あの右の方に見えてるルサヌ修道院はね、明日行くけど、たぶんすごく綺麗だと思うよ。あと、高いところにあるから、見た目のスペクタクルさが違うんだよ」

ふーん。そうなのか。そんなわけで、今から行くアギオス・ニコラオス修道院を「地味子」、明日行くルサヌ修道院を「ちび子」と呼ぶことにした。

アギオス・ニコラオス修道院の近くには、もともとは修道院があったのではないかと思われるような跡がちらほらと見られた。

メテオラの修道院跡

明らかに、何か建物があったような跡である。メテオラには一番多い時期には24もの修道院があったというから、その跡なのかもしれない。

カストラキの町から、アギオス・ニコラオス修道院の真下まで行くのは、比較的楽なのだが、ここから、修道院が建っている岩を上らなければならない。「高さがない」と言われるアギオス・ニコラオス修道院だが、実際に上るのはそれなりに大変なのである。

アギオス・ニコラオス修道院

真下から見上げたアギオス・ニコラオス修道院。物資を引き上げるためのケーブルが見えている。

「地球の歩き方」には、「アギオス・ニコラオス修道院までの坂道はハード」と書いてあったが、カストラキからアギオス・ニコラオス修道院の真下まで上る坂道は緩やかで、ハードではない。しかし、修道院へと上る階段はそれなりに大変だ。この日は雨で、少し滑ったので、注意しながら上った。

ルサヌ修道院

上っている途中で、アーモンドの花の向こうに、ルサヌ修道院が見える。先ほど「ちび子」と命名した修道院だ。確かに、大きさは、この「地味子」と同じくらいとはいえ、高いところにあるから映えているなあ。アーモンドの花まで添えちゃって。

アギオス・ニコラオス修道院からの眺め

かなり上の方まで上ると、修道院が以前はあったのではないかと思われる岩が見えて面白かった。岩の上に、人工物の名残のようなものが見え、長い時間が経ちすぎて、草木に覆われてしまっている。天空の城ラピュタを思い出すような風景だ。

アギオス・ニコラオス修道院内部も、他のメテオラの修道院と同じように、それほど達筆ではないフレスコ画で飾られていた。

メテオラの修道院は、どこもかしこも同じなので、全部入る必要はない、という意見もあるが、個人的には、メテオラの修道院は内部ではなく、そこに至るまでの風景が楽しいと思う。修道院にたどりつくまでの道中は、それぞれ違う風景を拝むことができるのだ。

じゃあ、修道院までたどりついたら、入場料払って中まで入る必要ないんじゃない?と思う方もいるかもしれないが、ハードな階段を上ってたどり着いた修道院が目の前にあって、その中に入らずにUターンできる精神の持ち主がいたら、スゴイと思う。やっぱり、上ってきたからには、何はともあれ中には入りたくなるのだ。

アギオス・ニコラオス修道院

こちらは修道院に上りきったところで見える風景。メテオラの奇岩は、本当に奇岩である。どうしてこんな形をしているんだろう。ずっとずっと太古の昔、巨人族みたいな人間がいて、小学校の工作とかで作ったモノなんじゃないかとか、変な妄想をしてしまう私の脳みそ。

この後、もう少し、メテオラの景色を見ながら歩くため、この地味子…もといアギオス・ニコラオス修道院で、トイレを済ませておくことにした。スタッフさんに聞いてみると、トイレは修道院の外にあるとのこと。

こちらがトイレ君だが…残念ながらハッピートイレではなかった。ポケットティッシュは必須だし、カギもうまくかからなかったので、連れがいたら、ドアの前に立っておいてもらった方がよい。

メテオラは、健脚の人であれば、徒歩でも歩いて回れるのだが、途中にお店がないので、トイレは各修道院に入場したときに済ませておいた方がよい。それがたとえハッピートイレでなくても、修道院だけに修行だと思うのだ!

結局、明日もタクシーを使う羽目になるので、私にとって、自分の足でたどりついて入場したメテオラの修道院は、この地味子、アギオス・ニコラオス修道院だけであった。やはり、自分で歩いて行ったせいか、実は

メテオラで一番記憶に残っている修道院は、観光客にスルーされまくる、このアギオス・ニコラオス修道院なのである。